時間とともに変化しながら住み手の物語を刻んでいく『木楽な家』

時間とともに変化しながら住み手の物語を刻んでいく『木楽な家』

時間とともに変化しながら住み手の物語を刻んでいく『木楽な家』
時間とともに変化しながら住み手の物語を刻んでいく『木楽な家』
時間とともに変化しながら住み手の物語を刻んでいく『木楽な家』
時間とともに変化しながら住み手の物語を刻んでいく『木楽な家』

これからの『木楽な家』を体感!

「私が今現在やりたいことを集約した『木楽な家』です」。そう言って笑うのは、尾堂産業の代表取締役である尾堂竜太さん。視線の先には完成して間もない、同社のモデルハウスが建っている。最初に伝えておきたいのは、このモデルハウスが十数年に渡って同社の住宅を取材した中で一番と言っていいほど、〝木〟にこだわった住宅だということ。
 もちろん、これまでも木材をはじめとした自然素材やエネルギーを活かし、「風と太陽と暮らす」をコンセプトにした独創的で魅力的なスタイルを創出している。その中で、住み手が主役となる間取りや動線を組み合わせ、コンパクトな造りによる豊かな暮らしを叶えてきた。
 しかしここではさらに深化した『木楽な家』を体感できるのだ。同社が培ってきた技術や経験を踏襲しつつ、新たな試みを加えた「心地いい暮らしの器」としての家。そんな提案が、室内外のあちこちに散りばめられている。

 

外観でも木の個性と特性を活かす

外観でも木の個性と特性を活かす

 まず目を引くのが板張りの外壁。これまでは左官によるモルタル塗りに土壁コートを施していたのだが、建物の大部分に木材を使っている。実はこの木材、木製カーポートなども含めて無塗装なのだ。防腐剤の注入もなく、手触りも香りも木そのもの。
 とはいえ、風雨にさらされる部分なので素材は厳選。尾堂さんが自ら材木市場で目利きをして選んだ丸太を、自社で製材・加工を行っている。使うのは雨や太陽熱に強い黒芯(くろじん)と呼ばれる杉材。その芯だけを使い、熱処理加工をすることでメンテナンスフリーの外壁に仕上げた。「一般的な外壁材は10~20年後には再塗装が必要になります。イニシャルコストは多少かかりますが、長い目で見ると手間も費用も軽くなるはず」と尾堂さん。
 気になるのは経年変化だが、それを楽しめるのもこの家ならでは。常設モデルハウスなので、建物を包む雑木林のような植栽とともに、味わい深く育つ姿を見ることが可能だ。

深呼吸したくなる安らぎの住空間

 ふんだんに木を現し、まるで森の中にいるような安らぎや清涼感を感じられる内部空間は、『木楽な家』を選んだ人間が絶賛するポイントでもある。これまで通り、家具や建具は木製の作り付け。どれもシンプルで機能的なので、実際の生活をイメージしながら触れてみてほしい。
 そんな中、新しい挑戦となったのはほとんどの窓に付けた和紙の障子。障子と聞いて『和風の家なの?』と思うなかれ。採用したのは、通常よりも枠や桟が細く、組子も同じ幅に統一された吉村障子。閉めた時に一枚に見えるため、モダンで洗練された印象を与える。和紙には断熱効果があるため、機能面でも心強い。
 縦も横もスムーズにつながる一体感のある間取りは同社の真骨頂。5つの全開口窓とあいまってもたらされる開放感は、30坪弱の延床面積とは思えないほど。ここで待っているのは、風にそよぐ葉ずれの音や木漏れ日が日常の一部になる暮らし。わが家のイメージに迷ったら、ぜひ訪れて欲しい場所である。